新築マンションで発症 今回のリフォームはご家族のうち奥様が化学物質過敏症とアトピー性皮膚炎を、お子様がアトピー性皮膚炎を発症しておられました。元々吹田市の新築分譲マンションを購入され、入居後具合が悪くなり、築2年目でマンションをリフォームするか、明石市のご主人のご実家をリフォームし同居するかの決断に迫られました。 建築基準法では対応しきれない では、なぜ発症したのか?新築マンションとはいえ、最近のマンションは建築基準法も改正され、過去のシックハウスのような建材はあまり使っていないはず。しかし、そこには、落とし穴があります。建築基準法ではホルムアルデヒドとクロロピリホスの2種類しか規制していないのです。確かに昔のシックハウスのマンションよりは匂いが少なくはなっているようですが、成分的には各メーカーもホルムアルデヒドに代わる代替物質を日夜開発しているのです。その物質は今までに無かったもので、ホルムアルデヒドが果たしていた機能を別の物質でまかなおうとしているのです。それには、もっと恐ろしいものが出てくる可能性は十分にあります。 内装建材の他に原因物質はいくつもあります ニュータウンにはきれいな街路樹や公園がたくさんあります。これらの樹木は1年の間に何回も農薬を散布しているのです。マンションの部屋は1階にあるので、窓を開けているとその汚染された空気が室内に流入し、内装に付着し、窓を閉めてからまた再度内装についたものが揮発してきます。換気の意味で窓を開けるにも開けれないというなんとも皮肉な現状です。その他に購入された家具。家具は現状では国の規制があまりかかっていません。外見はきれいでも引き出しや扉を開けるとツンと匂いがします。エアコンや空気清浄機も原因の1つです。エアコンのフィルターに溜まったカビがスイッチを入れると一気に室内に放出します。これは、前回にエアコンを使用した後、送風運転で2〜3時間運転するとカビが驚くほど減少するのです。最近のエアコンは自動で掃除をしてくれるものが増えてきましたが、気管支炎の専門の医師に伺うと、昔より最近特に夏に患者が増えてきているとのことで、自動で掃除するといってもカビは全く無くなることは無く、しかも今まで毎年掃除していたものが、全くしなくなったため、逆効果になっているということらしいです。 今回の決断に至るまではお客様も様々なことを試されたり、努力されてきたと思います。畳を無農薬有機畳にしてみたが、なぜか代えてから症状がひどくなったということです。大阪では有名な化学物質過敏症の患者を診て頂ける「ふくずみアレルギー科」にも診ていただいたりもされました。そこで、これは良いですよと言われた物があります。VOC(揮発性有機化合物)を吸着する寒天からできた消臭剤で、「エファロン」といい、活性炭の75倍もの吸着効果があるというのです。 化学物質過敏症の方のメッセージ 決断されたのは、ご実家のリフォームをし、住むほうを選ばれました。築年数も古く、まだ揮発性のものが少なく、家の廻りの環境も街路樹が無いのでよいということです。ただ、ご主人の通勤が遠くなったり奥様がご同居されるなど、もっと色々今までとは異なる部分もありますが、本当にこれで治るのであれば、良いと思います。ご実家の親御さんも工事中とても奥様の体の事をご心配されていて、色々お話もさせていただきました。とにかく、化学物質過敏症にかかられた方は心のケアが必要です。ささいな廻りの方々の一言が本人の心に直撃するのです。ですから、廻りの人が十分この病気を理解し、大きな心で包んであげることが大事です。患者の方は生活の中ではわがままのように聞こえることはたくさんあると思います。しかし、これはわがままなのではなく、生きるか死ぬかのメッセージなのです。しっかりメッセージを受け止めてあげることが大事です。 |
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![]() ↑ ネットショップで見つけました |
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天然素材の寒天を原料にした活性炭の75倍もの吸着効果のある消臭剤「エファロン」 | ||
リフォームの場合、気をつけなければいけないことは、できるだけ解体する部分を少なくする。それは、表面の仕上げを解体すると下地の今まで見えなかった物が出てきて、室内に浮遊します。それがまた色々な部分に付着してしまうからです。あと木屑など小さな粉塵も多く出ます。また、今回は住みながらのリフォームではありませんでしたが、化学物質過敏症の方は絶対住みながらのリフォームは避けるべきです。解体中に症状が悪化してしまいます。 |
リフォーム前の仕様 | リフォーム後の仕様 |
既存の木造2階建て 壁:土塗り壁の上、綿壁塗り仕上げ 又は プリント化粧合板張り 天井:ビニールクロス張り 又は 板張り 床:寄木フローリング張り 又は 畳 |
壁:漆喰塗り 天井:漆喰塗り、一部板張りのまま 床:全て無垢フローリング(バーチ)張り 建具:IN松集成材(米のり接着) |
綿壁はその上から漆喰を塗ると落ちてくるので、全て剥がしました。 | 綿壁を剥がした後、土壁が見えてきたので、天然成分なので問題が無いと思われがちですが、当時土にも何を混ぜていたかわかりません。そのために、封止塗料を塗りました。日本リビング「ハードシール」です。これは、ナノテクノロジーで、メッシュになっていて分子の小さい空気や水分子は通しますが、化合物になった分子の大きい化学物質は通しません。土壁は水分がとても吸い込むので、予め塗る前に水を霧吹きします。 |
プリント化粧合板は、解体せず、そのままの上に化学物質を通さないアルミ箔で覆い、しっくいがくい付きよくするためにラス網を張ります。アルミは抗菌性のものも売っているので、それとは違うものを購入する。 | ラス網を張る際にどうしても丁寧に張ってもアルミが破れてしまう。その時は破れた部分に封止塗料を塗る。 |
床の寄木フローリングにもアルミホイルを張った上に無垢フローリングを張ります。タッカーで張る場合、機械のエアーがかなりの勢いで出るため、先に一面に張るとすぐ剥がれてしまうので、フローリングを張る部分ずつアルミを張っていく。 | 天井はビニールクロスの上にアルミホイルを張り、その上にラス網ではしっくいのくいつきが少ないため、無添加オリジナル竹アジロを張る。 |
漆喰を塗る前にモルタル漆喰を塗ります。これを塗ることによって下地のアクや不陸を調整し、下地の動きで漆喰が割れないような役割もあります。モルタル漆喰は塗った後、乾燥による収縮クラックを誘発させるため数日養生します。 | 洗面室は居室ではないため、仕様を代えています。壁と天井は解体せず、壁のプリント化粧合板はしっくいのくいつきを良くする為、ドリルで穴を開けます。その後、封止塗料を塗ります。穴の小口からのアクを止めるため、穴には入念に塗ります。天井はラスボードを張ります。 |
IN松集成材の引違い戸を2枚重ねて現場内に置いていると、室内の湿気で反ってきます。必ずラップで覆って湿気を含まないようにするか、集成材の裏も表も同じ保存状態にする。片方が湿気を吸い、もう片方が吸わない状況にあると反ってきます。 | 押入れの中は無添加オリジナルのシンゴン集成材(米のり接着)を張っています。この素材は桐に似ていますが桐とは違い、防虫効果は全くありません。ですから、一番安全な木なのです。しかし、化粧材として使用すると、木がとても柔らかいため傷がつきやすいのです。 |
畳のある部屋も畳の防虫紙などがあるため、使用せず、全てフローリングにしました。最後に仕上げとして無添加オリジナル漆喰を塗ります。通常一般に販売されている漆喰にはほぼ樹脂が混入されていますが、ここで使う漆喰は全く入っていません。漆喰は水分をたくさん放出するため窓を開け、塗った後、夜には除湿機をかけます。 |